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畑で水稲を育てる [予定とらくがき]

tsuba01-60.jpg畑で水稲を育てる
                             鍔 本 眞一


平成2年4月に現在の京都府木津川市に移住し、26年目を迎えました。
定年退職(平成20年6月)迄は、仕事優先の人生で、家自体は眠るために帰る所でした。
実は、木津川市には、木津川が流れています。
奈良の平城京造成時の建築物資やその後の生活物資等の移動手段として木津川が利用されました。
また、740年には、平城京から都は木津川流域の北側(現在の木津川市)に、恭仁京として遷都(経った4年の都)され、743年に、紫香楽宮に遷都されました。
木津川市は歴史に溢れ、緑に溢れた、素晴らしい地域でした。

在職中は仕事が主体で、趣味も仕事でしたが、第2の人生は自然と接したいと考えていました。
今は、毎日、家庭菜園を楽しんでいます。野菜については、ほぼ自給自足出来る状況です。
ただし、野菜は収穫出来る時期が集中するため、その期間、我が家の食卓はその野菜で彩られます。
でも、旬の野菜(健康に良いとの話もあり)と思い、食しています。

NHK放送の「野菜作り」のある番組で、野菜の育て方や連作障害等、論理的な話をされていたのですが、最後に司会者より、「野菜作りの重要ポイントは?」との質問に対し、「野菜は人の足音で育ちます。」との事でした。
今は、その意味が良く判ります。雑草一杯の状態では野菜は育ちません。毎日、野菜と接して(自分の足音を聞かせる)入れば、雑草も取る様になります。その結果、野菜作りの環境も良くなります。

本題ですが、木津川市の4月度の広報に「農のまちTVF講座」の案内がありました。
主催は京都府立木津高等学校(以下、木津高校)で、「高校生と一緒に勉強し、園芸の楽しさを知ってもらいます。
テーマに沿った研究を通して日頃の疑問を解決し、栽培技術の向上を図ります。」との事でした。

期間は、5月~12月 毎週火曜日 13時35分~15時25分で、今回のテーマの中に「コシヒカリの陸稲化栽培等」があり、その内容で応募し、受講が決まりました。
(注)TVF講座「T:お茶(Tea)のT、V:野菜(Vegetable)のV、F:花(Flower)のF」

私は家庭菜園を始めた頃から、稲作に興味があり、一度は稲の栽培をやって見たいと思っていました。
ただし、水田での稲作は、私に取っては大規模過ぎるので出来ません。

私の畑の周りには水田が多くあり、稲の苗は入手可能です。家庭で水田の条件を作る方法を考え、栽培の期会を待っていたところ、最大のチャンスが訪れました。


◎ ◎ 本講座の稲作りの基本 ◎ ◎

木津高校 システム園芸科 片山ゼミナール(以下、片山ゼミ)の片山先生のテーマで、5月中頃の第1回の講座時に、片山先生から以下の説明がありました。

本講座では、陸稲の栽培を行います。
陸稲と言いましても、私たちが実施している事は、水稲を畑で作れないか?と言う事を基本にしています。
ですから、作れない事もあります。
しかし、あえて、チャレンジする事を実践しているのが片山ゼミです。

作業としては、本当に地道な作業でしかありません。
そのほとんどが除草です。
陸稲作りで最も大事な事は、いかに頻繁に除草をするかだと考えます。
少なくとも9月下旬迄、毎回除草作業が基本である事をご了承下さいとの事でした。

片山ゼミの稲作りの基本は、以下の通りです。

1.無肥料である事。2.無農薬である事。3.灌水は出来るだけ最小限である事。

◎ ◎ 本講座の陸稲栽培の目的 ◎ ◎

この技術は水の豊富な現在の日本では全くと言って必要の無いものかも知れません。
しかし、世界に目を向けて見ると、渇水の地域や、砂漠化している地域が多くあり、また、人口も50年後には100億人を超えるとも言われています。食料の確保が急務であると言わざるを得ません。
渇水地でも収穫出来る、美味しい稲があればどんなにすばらしい事か。
この発想を基本として実践しています。

◎ ◎ 本講座の陸稲の品種 ◎ ◎

今年度使用する品種は「イセヒカリ」です。
この種は水稲種ではありますが、陸稲栽培も可能な、水陸両用種であると言う事です。
「イセヒカリ」は、2000年に伊勢神宮の神田において見つけられました。
当時、台風が2度も近畿地方を襲いましたが、ほとんどの稲(コシヒカリ)が倒れているのに、この稲だけが2本、元気に立っていたらしいです。
そして、調べて見ると、この2本だけが根が伸び、全体的に茎が太く、少し小ぶりな稲だったそうです。
その後、いろいろなルートを経て、研究され、現在に至ると言う米です。

倒伏についても、茎が太く短いので、倒伏しにくい米であると言われています。
ただ、神田で取れた米ですので、コシヒカリの変種ではありますが、親が何とかけ合わさったのかも不明であり、品種登録等が出来ない状況です。
一般には流通していないとの事で、基本は自主流通米として販売されています。

片山ゼミの稲作りの基本及び陸稲栽培に対する、今年度の研究テーマ及びその結果については、木津高校よりの研究報告になりますので、ここでは触れる事は致しません。

◎ ◎ 私の新テーマ ◎ ◎

私の新テーマは、「家庭菜園で経験した手法を使い、畑で水稲を育てる。」として報告致します。
ただし、稲の種が無いため、片山先生にお願いし、木津高校の講座で、以下の作業工程を経た稲の苗を頂き、新テーマに沿った手法で行う事としました。

5月中頃の第1回講座の実習で、栽培用稲の選定及び種子消毒(60℃のお湯で10分間浸す)を行いました。1週間後、発芽した稲の種を、50穴のセルトレーに、1セル毎に5粒を植え付けました。
その1週間後の芽が少し成長した苗を、60セルトレー頂きました。

私の稲作りの基本は、家庭菜園での手法で行う事ですので、以下の通りとしました。

1.木津高校では「無肥料である事」でしたが、家庭菜園での野菜作りには肥料を使用します。
また、水田における稲作栽培にも多量の肥料が使用されていると聞いています。今回は、有機栽培を基本としました。
畑作りについては、土壌に腐葉土、牛糞、鶏糞を入れ、化学肥料は使用しませんでした。
また、追肥も行わない事にしました。ただし、その前の野菜作付け時に、化学肥料を使用していますので、残存はあると思います。
また、「イセヒカリ」は根が深く伸びるとの事で、土壌は、出来るだけ深く耕し、畝は、出来るだけ高くしました。

2.木津高校では「無農薬である事」でしたが、私も家庭菜園を始めた頃から無農薬主義者で、当初から、農薬は使用した事がありません。当然、無農薬です。

3.木津高校では「灌水は出来るだけ最小限である事」でしたが、稲の品種が水稲種である事及びナスビ、キューリ等の家庭菜園と同様の栽培方法で実施したいため、雨が降らず、土が乾いて入れば、水を与える事にしました。

◎ ◎ 作業工程 ◎ ◎

畑は、木津川市ふれあい農園で、作業工程は以下の通りです。

陸稲1-10mw.jpg1. 5月末に、タマネギを収穫した畝幅70cm、畝長90cmの畑に10株と、秋ジャガイモを収穫した畝幅70cm、畝長300cmの畑に38株の稲の苗を植える。

2.6月中頃、2株が生育不良となり、予備の2株に植え替える。

陸稲2-10mwb.jpg3.その後は、ほぼ毎日、水を与え、雑草があれば、除草作業を行う。

4.8月中頃、稲穂が出だしました。

5、10月中頃、稲穂も実ったと判断し、稲の刈り取りを行い、天日干しにて乾燥させる。

陸稲3-10mwb.jpg6.10月後半、天日干しした稲を手作業にて、実の部分だけを脱穀(手間と時間が必要)して取り出し、籾米とします。

問題点
籾米の状態で収穫量が20Kg~30Kgあれば、籾米の籾摺り作業及び精米作業を機械で行う事が出来るのですが、収穫量が5Kgに満たないため、機械が使えません。

7.11月初め、兄より、家庭用(2合~5合用)の精米機(玄米専用)を借りる事が出来ました。
玄米専用の装置ですが、壊れても良いから、籾米の状態で精米したらとの助言でした。

8.装置の動作確認を行うため、玄米3合を装置に入れ、精米度(3分、5分、7分、白米、白米強の5段階)を白米に設定し、テスト運転を行いました。

確認の結果、設定した精米度に到達するまで、玄米を循環させながら、徐々に精米を行い、到達時点で自動的に回収箱に排出する装置でした。
問題は、糠も食用として利用する様で、糠の回収箱の上にフィルタユニットがある事でした。

今回は糠を必要としない事及びフィルタユニットが籾殻で目詰まりになる事を考え、フィルタユニットを取り外し、隙間はビニールテープで塞ぎ、フィルタユニットが無くても動作する様、スィッチ部を爪楊枝でON状態にしました。

9.籾米を精米機に入れ、精米作業を行い、精米としました。

◎ ◎ 結果 ◎ ◎

稲の発芽率及び発芽した稲がセルトレーで苗になる確率は、ほぼ100%でした。また、畑に植えた苗が成長する確率は、95.8%(48株中、生育不良は2株)でした。

籾米の収量は、バケツ半分程度で、精米後の収量は1,800gでした。

水田での収穫量は、精米換算で1株当たり50g程度(48株ですと、2,400g)と聞いていますので、収穫率は75%程度でした。

収穫した米は、すぐに生活米として食べましたが、取れたての新米、苦労して出来た新米ですので、本当に美味しく頂く事が出来ました。その中でも、一番美味しく思ったのは、ハイキングの昼食の「おにぎり」として食べた時でした。

◎ ◎ 考察 ◎ ◎

私の稲作りに対する願望が叶えられた事については、大満足です。
また、畑での稲作りは、家庭菜園の手法で、誰でも容易に行えると思いました。
ただ、趣味としては満足ですが、実益の面で考えると、効率は非常に悪いと思います。
一般的に家庭菜園で栽培したい野菜と言えば、キューリ、トマト、ナスビ等の夏野菜になると思いますが、稲作栽培もその時期と重なります。例えば、10株植えた畑(畝幅70cm、畝長90cm)ですと、キューリ3本を植える事が出来ます。今年の私の実績ですが、4月末にキューリ(種類は、シャキットの実生苗)3本植えました。5月末から収穫が始まり、終了の7月末迄に、約300本が収穫出来ました。また、38株植えた畑(畝幅70cm、畝長300cm)ですと、トマト5本を植える事が出来ます。4月末にトマト(種類は、大玉の桃太郎の接ぎ木苗)5本植えました。6月中頃から収穫が始まり、終了の8月中頃迄に、約150個が取れました。

稲作りの場合、5月末に稲の苗を植えて、10月中頃の収穫です。収穫量は、精米換算で1,800gです。
栽培期間が長い事及び実益面から考えると、効率は悪いと思いました。

木津高校の陸稲栽培の大きな目的である、渇水地域や、砂漠化している地域での栽培が可能になれば、食糧難解消の一つの要因となり、大変意義深い事と思いました。

◎ ◎ 追加報告 ◎ ◎

陸稲4-10mb.jpg観賞用稲の鉢植え栽培

土壌は、一般的に市販されている「花の土」に、化学肥料を加え、30cmの鉢に3株、15cmの鉢(2鉢)に1株植える。

結果、植え付けを行った当初より6月初旬までは、畑で育てている苗よりも生育は良く、順調でした。その後は、畑の苗に比べれば、成長が悪い状況になりました。稲穂が出るのも、9月の初旬からでした。当然、稲穂の量も少ない状況です。
ただし、観賞用の稲としては、11月中頃でも、十分に楽しむ事(葉は黄色に、稲穂は垂れて)が出来ています。

成長が悪かった原因は、土壌では無く、稲作りに使用した鉢が小さかったためと思っています。
観賞用稲にも稲穂はなっています。
その稲穂は、稲の種として使用出来ると思います。
来年は、今年度の講座の復習も兼ね、この観賞用稲の種を使い、種子消毒後、発芽させた種を、セルトレーへ植え付け、出来た苗で、観賞用稲の鉢植え栽培(畑での単位面積と同程度の鉢及びプランター)に再挑戦したいと思っています。

最後に、稲の苗の供給と稲の栽培に関しての助言を頂いた、木津高校の片山先生と片山ゼミの生徒さんに、心からの感謝とお礼を申し上げます。


この記事は  発行所:公益社団法人 日本空気清浄協会
     空気清浄 平成28年1月31日発行第53巻第5号 に掲載。




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